いま女性に人気のベトナム。ホーチミンへの旅のワンポイント。

近年女性のあいだで「ベトナムへの旅」が人気です。
2001年春から、成田・ホーチミン間にベトナム航空と日航、全日空のコードシェア直行便
が就航して、ホーチミンまで日本から6時間でいけるようになりました。
ベトナムは中国と並んでアジアの社会主義国ですが、
15年前からのドイモイ政策で、街は人々の活気であふれています。

何の根拠もない、ただ漠然としたイメージですが、
日本人とベトナムの人のルーツはきっと同じ民族だと私は思っています。
昔、漢民族に追われて中国大陸を後にした人々。舟で日本列島に流れ着いたグループと、
南下して豊かな恵みのメコンデルタに住み着いた人々。
そんなことを思わずにはいられません。
ベトナムと日本の、文化や生活の一端を垣間見ると、
他のアジア地域では見られない日本との共通項が様々な面で見られます。

(注・1)
今日の日本人が失ってしまった何かに、ベトナムの旅で出会うとき、
私たちは、自らが失ったものを、おぼろげに思い起こす事でしょう。
ベトナムへの旅は、失われゆく人と暮らしの原点に出会う旅でもあります。


雨期が明けるこれから、ベトナムは旅によい季節です。

航空券・ビザ・ホテル
同じヒコーキに乗っていても隣の人と運賃には違いがある。
この春のホーチミン便の内外格差はおよそ2万円。これは現地滞在費に相当する。
個人旅行者はベトナム航空のチケットを「自分で」買うのは常識だよね。

「自分で」といってもベトナムの場合はビザが必要だから専門業者に手数料を払って、
取得してもらうのが早道だけれど、旅をするのは、旅行業者ではなくて
「自分」という決心がなければ、旅は何処へ行っても永遠に始まらないね。


と言う訳で「決心」して夜のタンソンニャット空港へ着くと、空港の外は闇の中。
建物を取り巻くように出迎えの人々でいっぱいです。
右も左も知らない街に夜遅く初めて着く事は、不安がいっぱいなのも旅の醍醐味。
重い荷物を抱えて、緊張するけど、何の事はないタクシーに乗ればいいだけ。
そこで重要な事はやはり何処へ宿泊するかと言う事だね。
ここで一流ホテルの名前を告げれば一安心。これもコストパフォーマンスのひとつ。
次に、事前に運賃の交渉が出来ればいいのだけれど、
荷物を抱えてそれドコロでないのが普通だね。だから乗った後で、幾らかかるのと聞くと、
10ドルとか言うから「へえこの間は5ドルだったのに」とかてきとうな事を言う。
「それじゃあ7ドルでたのむよ」とか言うと「夜遅いから10ドルなんだ」
とか言い訳していたけれど、結局7ドルで行ってくれた。適正価格だったんだね。


マジェスティックホテルのロビー
シクロ・ホンダ
ホーチミンへ行ったら、シクロに乗らなければね。
シクロは危ないから絶対乗らない事なんて聞いたりすると、ますます乗りたくなるね。
メインストリートをゆくと、観光客目当てのシクロのおじさんが寄って来るので、
近くの市場まで、値段の交渉をして乗ったわけです。
シクロは人力だから乗り心地は、まことによいのです。

シクロのおじさんは「ガッテン任せなさい」と言ったと思うと、逆の方角へ向かって走り出した。
近いところなのにぐるーと遠回りするので、
ながいことシクロに乗れて、いいのだか悪いのだか変に思ったけれど、
後で分かったことは、シクロの通る路が決められているためにわざわざぐるりと、
遠回りして走らなければならなかった訳です。

風をうけて、ゆったりとした速度で、通りを行く人たちを眺めるのはとても贅沢。
ところがすぐ、シクロの背後から怪しく接近してくる二人乗りのバイクに気が付いた。
はやく追い越せばいいのにシクロをピタリと追走している。
彼らはどうやら、肩にかけたわたしのカバンを狙っているのだね。
狙われているとピンときたので、わざとカバンを引っ手繰り易いように
ルーズに肩に掛けたら、案の定、ブーンと急接近してきたので
瞬間スルリとカバンを抱え込むと、失敗とばかり追い越していった。
「残念でした」狙う方も、狙われる方も結構スリルがあっていいけど、危ないよね。


団体ツアーに参加してベトナムへ行った人からよく聞くのは、
無理やりバッグを取られたとか言う話。
日本人は自分を含めて、歩き方が崩れていることに無自覚だから、
(海外の空港等で遠くから来る人を見ているとすぐ見分けがつくよ)
異民族の中ではすぐ見分けがつくし、カネを持ち歩くからカモなのね。

特に団体のツアーの方々は、
殆ど自己責任での行動を放棄している訳だから、
隙が多く狙われ易いのは当然だよね。
待ったり、待たされたりの団体ツアーは、カモというより
アヒルの行列のように目立つから危険がいっぱいだね。
安いから・安心だから、とか勘違いしている人が多いのも、ニッポンの謎だね。

謎といえば、ホーチミンの謎は「ホンダ」と呼ばれるバイクと騒音の氾濫。
夜明けとともに、バイクの騒音は目覚まし代わり。
夜は涼みがてらに家族でバイクに跨り市中に駆出す。
街中がゼンマイ仕掛けの壮大な工場の中のようで、
止まらない騒音の迫力は呆れる位に壮観。
これはいったい何なのだと思っていたが、
現場に行ってみれば、この謎は簡単に解明された。
ニッポンで言えば渋谷でも新宿でもいい。そこに山手線も、地下鉄もなく、
皆がバイクや自転車に乗っている様を想像すればいいだけの事だね。

一台のバイクに2人・3人・4人と乗っていて、しかもミラーを着けているのは一割に満たない。
対向車線を平気で逆走する。その度に彼方此方でクラクションが悲鳴を鳴らす。
白いアオザイを着た女性が覆面マスクをしてバイクに乗っている。
排気ガスがスゴイのだね。
大気汚染が目に見えるようで困った問題だけど、バイクは日本製だし。
エネルギーの浪費をいうならわれわれの方がはるかにウワテ。
だって、5人乗りのクルマを殆ど毎日一人で乗りまわしているのだからね。

(注・1)
日本人とベトナムの人のルーツ云々と記して、後で気になったのでいろいろ本をあたって見ましたが、
藤森照信氏の「素晴らしきベトナム建築」(1996年)の冒頭にも、同様の事が「言われている」と記されていたので、
ほっとしました。(勝谷誠彦篇・ベトナムへ行こう・文春文庫所収)


ホーチミン4泊5日。日本からだいたいの経費。
航空券NRT〜VN往復 69,000円
ビザ11,000円・出国税NRT2,040円・VN1,500円
HOTELツインルーム11,300×4泊÷2=22,600円
タクシー代6,000円÷2=3,000円 5日間10回以上乗車
食費雑費他 10,000円
TOTAL 120,000円
(2001年夏の価格)

もちろん旅のコストは千差万別。いかに安い旅行をしたかを自慢する人も大勢います。
季節によっても、目的によっても違います。だからここに記した金額は
一般的大人の女性が最高級ホテルに宿泊して、
満足の行く食事をして、移動にタクシーを使う、豪華な二人旅のコストの目安です。


ベトナムでの買い物
アンティークの店で、中古の「安南」のやきものを選んでいたら、
不思議な絵が飾ってあった。陶磁器よりも絵の話になると、
店の主人は「実はこの絵はうちの女房の作品です」と喜んでくれた。
やがて、奥さんが、うれしそうに一冊の本を持って現れた。
「画集を作ったので是非見ていただきたい」と「本」をいただきました。
(本当は荷物になるから)遠慮したのですが、ご好意を無に出来ません。
買い物の「安南」は一寸嵩張るので、スーツケースに入らず、
結局EMS(国際郵便)で送る事にしました。
ホテルで一晩かけて、壊れないように幾重にも幾重にも厳重に梱包しました。
やがて、郵便物が、海を渡り、通関を経て運ばれて来ました。
業務を委託されたおじさんが、ダンボールの荷物を運んできました。
そして、「うわー、重かった」と言って、
ドスンと床に荷物を置いた、その瞬間・・・・
「再梱包」された陶磁器は、無残に、「グシャリ」と壊れてしまいました。
荷物の中身を知らない、配達のおじさんを責める訳にはいきません。
「安南」のやきものは「運」がなかったのです。
いまの世の中、人も物も世界を巡る便利な時代ですが、
たとえガラクタでも、このような経験をしますと、
「物」が「いまここにあることの不思議」
といったことを考えずにはいられません。
「物」をつくる現場まで立ち入らなくても、
じつに多くの、人の手と、場所と、時を経て、
一つひとつの「物」が「在る」事に改めて気付かされた訳です。
そして、わたしの手元には、奥さんからいただいた「本」だけが残りました。

ベトナム映画の名作
「青いパパイヤの香り」1994年・トラン・アン・ユン監督
「季節の中で」1999年・トニー・ブイ監督
ベトナムの歴史を手短に知る本
小倉貞男著
「物語ヴェトナムの歴史」
一億人国家のダイナミズム
中公新書1372・1997年7月版
ベトナムの音のCD
hò !#1
[-ROADY music from VIETNAM 2000]

1997年5月に収録されたベトナムのストリートミュージシャンの音。
WEBSHINOKAWA.COMのベトナムコラム
海を渡ったやきもの「安南」
ホーチミン市でベトナムコーヒーを飲み比べる
「和」とアジア雑貨のお洒落な出会い。

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