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ホーチミン市の中心街から西へ
タクシーで2・30分ほど行った
問屋街は庶民の町だ。
あても無く、
何処かに好い店は無いだろうかと、
うろついているうちに
町の喧騒と暑さで疲れてしまった。
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そのうち、路地の奥の中庭に、
喫茶店らしき場所を見つけた。
出来合いの日除けパラソルを
並べた庭は、
お世辞にもオシャレとは言えなが、
南国のきつい陽射しを避けて、
緑に囲まれていると
古ぼけた扇風機さえ
爽やかな緑の風のような気がして
まことに居心地がよい。 |
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注文は
[coffee with milk]
普通のミルクコーヒーを注文
したつもりが、出て来たモノは、
お湯の入ったガラスの器の中に
コップを入れて、その上に
ステンレスのドリップが乗った
見慣れない代物。
それと熱いポットのお茶。 |
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一瞬。
「エッ」と戸惑って、
ドリップの蓋を開けたり閉じたり、
どのようにして飲んで良いものやら
と考えてしまった。
ドリップのコーヒーはのんびりと
したテンポでポタリポタリ
と落ちている。
ようやくドリップを除けて、
コップを取り出してみると、
コップの底にはコンデンスミルク
がたっぷりと沈んでいる。 |
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かき混ぜて飲んでみると、
ドロッとした濃いコーヒーが
口の中に拡がった。
これが何とも言えず、
「ウマイ」のです。
[too strong]だけれど、
とにかく美味いのです。
それがベトナムコーヒーとの
初めての出会い。 |
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熱い「お茶」が一緒に出てくる訳も
すぐに納得して、
「お茶」と「コーヒー」を交互に
味わいながら、
思いがけず、出会った
「ベトナムコーヒー」の
絶妙な味わいに
疲れも忘れて癒されていった。 |
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ドンコイ通りに帰っても、
この「ベトナムコーヒー」の味が
忘れられず、カフェを見つけては
注文するのですが、
観光客の多いドンコイ通りの
「ベトナムコーヒー」の味は、
どこも、あのドロッとした
「感動の味」
とは別物なのです。 |
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それで、次の日も、また次の日も
午後の疲れた時間になると、
あの「ベトナムコーヒー」
を飲むために、タクシーへ乗った。
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ついでに申し上げますと、
ベトナムで美味しいのは
コーヒーだけではありません。
例えば道端の蒸したアサリも
大粒で美味。
メコン河の恵みを受けた食べ物は
どれもこれも、
ニッポンの人と国が失ってしまった、
「味」を思い出させてくれます。
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